あかねこ屋敷
[このSSは実際の企業・団体・人物・物理法則とは一切関係ありません]




秋の味覚は危険な罠

written by あかねこ



心地よい陽気の秋

ここ、高町家にも秋の風物詩がやってきた

「ただいまー、ってうわ、これ何!?」

元気よく学校から帰ってきた美由希が見たのは

玄関にところせましと積み上げられたサツマイモの山であった

「す、すごい量……」

美由希がその膨大なサツマイモに驚いていると

奥の方から桃子がやって来た

「あ、それね、知り合いの業者さんが譲ってくれたのよ」

笑顔で話す桃子であったが、その裏に隠された真実に二人は気が付かない

誰が知ろう、桃子がお菓子の材料にサツマイモを業者に注文したとき

桃子に密かに好意を寄せる業者は己の全財産をなげうち

裏取引をして、ありったけのサツマイモを買い占め

桃子にタダ同然で売り渡したという事実があるということに

当然彼はその後、会社をクビになるわけであるが

そのときの彼の同僚は彼の表情を見てこう言ったという

『あんなやり遂げた漢の表情見たことねぇぜ……』

しかし、悲しいかな桃子の記憶では彼の存在自体すでに忘却の彼方であった

報われない男に幸あれ

「ふーん、でもこれだけの量があると使い切れないんじゃ…?」

「そーなのよー、ほっとくと腐っちゃうし、勿体無いから皆で食べようと思って、家に持ち帰って来たのよ」

「え、ほんと? やったー!」

喜ぶ美由希、それを笑顔で見る桃子

彼女達は知らない、後にこのサツマイモが原因でとんでもない事件が起こることを…



「皆さんお待たせ! じゃーん!!」

そう言って桃子がテーブルを覆っていた布を取り去る

「「「おおぉぉーーーー!!?」」」

湧き上がる歓声、立ち込める甘い香り

彼女達の目の前には数々のサツマイモ料理がズラリ並べなれている

焼き芋、スイートポテト、大学芋、etc…

まさにサツマイモ尽くし、これでもかと食欲を掻き立てる

「……これは、旨そうだな…」

普段、あまりこういった甘いものを食べない恭也であったが

そんな彼でもこの料理には食欲が湧いていた

「す、すげー…」

「さ、さすが桃子ちゃんや…」

料理の量と完成度に晶とレンが感心し

「「………ごくり…」」

美由希とフィアッセが無言で唾を飲み込む

「す、凄い美味しそう、これ全部お母さんが作ったの?」

涎を拭いながら桃子に尋ねるなのは

しかしその視線は料理にくぎ付けなままである

「ええ、桃子さん皆に喜んで欲しくて一生懸命作ったのよ、遠慮せずどんどん食べてちょうだい♪」

桃子が笑顔でそう言うと、それを合図にしたように皆が料理に飛びつく

「「「いただきまーーす!!」」」



「うわ、これ凄く美味しいよ!」

「え、ホント? どれどれ、うわ、本当だ!!」

「あぁ、うち今最高に幸せや〜…」

「珍しく同感、俺も幸せだ〜…」

「お母さん、これ美味しいね!」

「うふふ、なのはにこんなに喜んでもらえて頑張った甲斐があるわ」

皆がそれぞれ幸せなひと時を過ごしながら料理を楽しんでいた

そんな中で恭也は一人黙々と料理を食べ続けていた

そして、彼が料理を一通り食べ終えて周囲の様子を見た時である

               ぷっ

小さな音がした、しかしそれは周囲の人々にはっきりと聞こえる音

そう、その音とはすなわち『オナラ』である

「あわわ、ち、ちちちちちち、ちがうんです! こ、これは!!?」

その発信源であるなのはは一瞬にして顔を真っ赤にしてうろたえ始める

「あ、あの、その! ここ、これは!? なのはがやったんじゃなくてその!?」

挙動不信な言動で必死になって弁明するが

その様子は見ていて滑稽そのものであった

そんな様子を見かねた恭也がなのはに話し掛ける

「まぁ落ち着けなのは、ほら、深呼吸してみろ」

「う、うん! すーはーすーはー……お、落ち着きました…!」

あまり変化の見られないなのはであったが恭也は気にする様子もなく話す

「まあ、サツマイモを食べていればこういった現象はしょうがない、むしろサツマイモを食べているとき『オナラ』は許されるもんだ」

恭也の説明に頷く女性陣

「だからあんまり気にするな、こういうことはよくあ」

              ぷ〜

恭也がそこまで言いかけて今度は美由希がオナラをしてしまった

自然と全員の視線が美由希に集中する

「あ、あはは…よ、よくあることでしょ?」

引きつった笑いを浮かべながら美由希はそう言う

「「「………ぷっ、あはははははははは!!!」」」

その様子に全員が一斉に笑い出した

「ちょ、ちょっと、そんな笑わないでよ〜!」

美由希が抗議の声をあげるが誰も気にすることなく笑い続けた



美由希のおかげで一気に場の雰囲気が軽くなると

「あ、なんかうちも出そう…」

今度はレンがそう言う

「ははは、やれやれ、今なら誰も気にしないぞ」

恭也が笑いながらレンを促がす

「そ、それじゃ、お言葉に甘えて」

レンが遠慮がちにそう言うと

               ぷぅ

可愛らしい(?)オナラをしたのであった

「「「あははははは!!!」」」

それと同時にまたしても全員が笑い出す

こうして一度恥じらいが消えてしまえば連鎖的になるもので

「あ、俺も出そう」

「桃子さんも」

新たに晶と桃子の二人が参戦してきたのである

「む、晶と母さんもか、遠慮は要らんぞ」

その言葉を聞いて二人が向き合うと

「それじゃあ晶ちゃん、一緒に」

「わかりました桃子さん!」

「「いっせーのーで…!」」

                ぷぷぅ

これまた可愛らしい(?)オナラを披露したのであった

「「「あははははは!!!」」」

それに続く爆笑の渦

もう何が面白くて笑っているのか誰もわかっていない

なんとなくそういう雰囲気になってしまっているのだ

「では今度は俺が…」

場の雰囲気に押され、さらに恭也までもが参戦

「いいぞー!」

「お師匠ー!」

「がんばってー!」

皆が次々とはやしたてる

そんな嫌な声援を受けつつ恭也は目を瞑り精神集中し

「……いざ!」

カッ、と恭也の目が開き

                ぶりっ

史上最低最悪のオナラをやらかしてしまったのであった

「「「………………」」」

ざざざざざ!!

そんな恭也から一瞬にして距離をとる女性陣

彼女達の恭也を見る視線は果てしなく冷たかった

「恭ちゃん最低ぇー…」

「お師匠、見損ないました…」

「お兄ちゃん、近寄らないで…」

口々に恭也を罵る娘達

さっきまでの雰囲気はどこへやら

場の雰囲気は一気に最悪な状態にまで落ち込んでしまった

「お、おい、マテ、別に俺はただのオナラをしただけだぞ?」

虚しい言い訳をする恭也であるが

当然、そんな言い訳など通じるはずもなく

「ちょっと、くさい人はあっち逝っててよね!」

しっしっ、とまるで蝿を追い払うように返答されてしまう

「な、なんてこった、オナラ一つで俺の輝かしい家族からの信頼は地に落ちてしまったのか…!!?」

絶望に打ちひしがれる恭也

そんな彼の視界のすみでこそこそ動く人影があった

その人物を確認して恭也の顔が凶悪に笑う

「………どこへ行く気だ…フィアッセ?」

びく、と恭也に後ろを向いたまま停止するフィアッセ

彼女からの返答はないが、その流れる汗から相当焦っているのが理解できる

「まさか…一人でこっそりとオナラするつもりではあるまいなぁ?」

ゆっくりフィアッセに歩み寄りながら問い掛ける恭也

その姿はまさしく死神、フィアッセにはそう見えた

「え、えっと……ごめん恭也!!!」

謝ると同時に逃げ出すフィアッセ、フィンまで展開している

彼女にとって人前でオナラすることはどうしても認められないことだったのだ

「逃がすかぁ!」

そんな彼女を狩人の表情で追いかける恭也

神速まで発動してフィアッセに追いすがる

こうして高町家は戦場と化したのであった



高町家玄関前、そこの空間にかすかな歪みが生じると

次の瞬間、そこにはリスティが瞬間移動していた

「ふぅ、桃子さんからのお食事会のお誘いか、楽しみだな♪」

桃子にサツマイモパーティーに呼ばれていたリスティ

楽しみのあまり他のメンバーよりも一足先にやってきたのであった

「那美やフィリスには悪いけど、お先に楽しませてもらおうかな♪」

そういってリスティが高町家の玄関を通ると

「きゃーーーー!? いやぁーーーーーーーーー!!?」

泣きながら逃げ惑うフィアッセ

「オラオラ、さっさとオナラしろやーーーーー!!!」

変態そのものな感じで追いかける恭也

そんな現実離れした状況が展開されていた

ぽろり、とリスティの咥えていたタバコがスローで地面に落ちる

呆然とその光景を見ながらリスティは思った

『恭也はスカトロ趣味だったのか……』

まぁ、それは果てしなく勘違いであったのだが…

やがて暴走したフィアッセにより恭也がぼこぼこにされたことで修羅場は落ち着き

その後、到着した那美やフィリス達は平和に料理を楽しんだのであった

しかし、その間もリスティ一人だけはどこか上の空で

その日はずっとそんな感じだったらしい



おまけ

「…真雪、相談があるんだ」

「ん? なんだボウズ珍しいな?」

「……スカトロプレイの特訓がしたいんだ」

「お、おいそりゃマジか!? おまえ正気か!!?」

「僕は本気さ、どうしても…必要なんだ、愛する人のために…!」

「…どうやら冗談じゃなさそうだな…いいだろう、このあたしが直々に特訓してやる! 覚悟はいいな!?」

「ああ! わかってるさ!!」

「よっしゃ! あたしについてきな! 山篭りだぜ!!」

「Yes!!」

恋する乙女の暴走は止まらない


おわり








あとがき

どもこんにちわこんばんわ、(自称)ギャグSS作家のあかねこです、今回なんともくさいSSになってしまいました、食事中の方は申し訳ありません、秋といえば芸術、スポーツ、食欲ときてやっぱりサツマイモです、あかねこもサツマイモは大好物です、皆さんも秋はサツマイモを食べて幸せになりましょ〜。




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