あかねこ屋敷


[このSSは実際の企業・団体・人物・物理法則とは一切関係ありません]




海鳴大学病院

フィリス矢沢は夜勤で疲れた体を診察室の簡易ベットに横たえる

「う〜、暇〜、恭也君はまだ来てくれないし…う〜」

ベットの上をゴロゴロ転がりながら愚痴を零す

そんな仕草が彼女の幼さをより一層強調する

ふと、机の上にある写真立てに目が行く

ひとつは義理の両親である矢沢夫妻と一緒の写真

その隣には姉妹であるリスティとシェリーと一緒の写真

最後にその二つに隠れるようにひっそりと立ててある三つ目の写真

そこには全身黒い服装で無愛想な表情で立っている男が写っている

高町恭也、フィリスの想い人である

彼と知り合ってからまだ僅かな時間しかたっていないがフィリスは彼に惹かれていた

特に最近になってフィリスの事情を知った彼はことあるごとにフィリスの夜勤に付き合ってくれている

その所為で憂鬱な夜勤は深夜に男女二人っきりという幸せ時間に変化したのである

「…えへへ」

恭也の写真を手にとって眺めていると自然とニヤニヤしてしまう

「恭也く〜ん、ムチュ−」

唇をタコみたいに突き出して写真にキス

その仕草は可愛いのだが、親や姉が見たら間違いなく泣くか笑うだろう

写真を見ながらそんなこんなしていると、だんだん興奮してきたフィリス

急にそわそわして挙動不審にキョロキョロ周囲をうかがいだす

「……夜勤中だし…誰もいないよね…」

誰かに言い訳するように言ってフィリスは写真を自分の正面に置く

そして、そっと右手をスカートの中にさしこむ

「あ……」

あいた左手を(ない)胸にそえ、やさしく揉む

「ん……」

しばらくそんな状態でむなしく自家発電していると

「ん…?」

ふと、違和感がある

「あ、あれ?」

それを確認するように、再び指でその正体を確かめようとする

「あれ?あれ?」

ない、あるはずのものが ナイ

今度は足をがばっと広げて目で確認

「な、な、な、なーーーーーーーーーーーーい!!?」




あれ?処女じゃない…


written by あかねこ




「なんで?なんで!?なんで!!?」

半狂乱になりながら自分の股間を確認しまくるフィリス

かなりやば気な光景である

こういう時、不幸なこととはよく起こるもので

「フィリース、悪いんだけど金かしてって、うぉっ!?
な、なにやってんだ!?」

お金を借りに来たリスティが見たものは彼女の想像を遥かに超えるものであった

なんでと連呼しながら自らの股間を弄くりまくる妹の姿である

多分、リスティの人生でもトップ3くらいの衝撃映像だ

ちなみに、今のところTOP1はゆうひと耕介の浮気現場である

当然、義母の愛にチクっておいた、その後耕介は一週間行方不明になった

帰ってきてからは虚ろな目で「愛サンダイスキ」という言葉しか喋れなくなっていた

彼の後頭部に手術痕があったのを寮生皆はあえて無視した

「お、おいフィリス!」

リスティからの呼びかけにも答えない

「ち、しょうがない、サンダ−!」

様子がおかしい妹に容赦なく電撃をぶちこむ鬼姉

「rftgyふじこlp!!!」

ピクピクと痙攣し頭から煙を出して倒れこむフィリス

リスティもその様子を見てちょっとやりすぎたかなと内心焦る、しかし

「って、なにするのよリスティ!!」

がばっと起き上がって突然攻撃してきた姉に猛然と抗議してくる

常人なら致死量の電撃を受けてもケロリとしている妹にビビりながら、リスティは改めて何があったのかを尋ねる

「う、うぅ…それが……」

半泣き状態のフィリスはかなり言いにくそうにしながらも事情を説明した

リスティは話を聞くうちにだんだんニヤケ顔になり、フィリスが話し終えると笑い出した

「あっははは、フィリス可愛いすぎ!写真みてムラムラきちゃうなんてさ」

腹を抱えて笑い転げるリスティ、フィリスはむっとしながら話をしたことを後悔した

「ちょっと笑わないでよ、こっちは本気で困ってるんだから!」

ぷー、と頬を膨らませて子供っぽく怒る

「くくっ、悪い悪い、それで、フィリスは気がついたら膜がなかったと?」

「う、うん、まるっきり、ごっそり、あとかたもなく、消えちゃってた…」

「自分で破っちゃったんじゃない?」

かなり気楽に断定してくるリスティ、鼻くそでもほじくってそうな態度である

「そ、そそ、そんなわけないでしょ!」

真っ赤になりながら否定するフィリス

彼女にはそれはないという確信がある

なぜならいつも最新の注意を払ってしていたのだ

大体、そんなさみしい処女喪失はごめんである

フィリスは昔から初体験はロマンチックに、と決めていた

愛する人と高級ホテルのスイートルームで甘いひと時を

それが彼女のジャスティス

「じゃあ…まさか、レイプ、とか…?」

リスティがやや顔色を悪くして言う

「そ、そんな…い、イヤーーーーーーーーーーーーー!!!」

最悪の想像に再び半狂乱で絶叫をあげる

「お、おい、落ち着けって!」

何とか宥めようとフィリスの肩を掴んで話し掛ける

「ひぃっ、いやああ!女に飢えたケダモノが!舐め回すように!
おか、おか、犯され、純潔が!前後左右!私のあそこを!?
し、尻!あ、あ、穴という穴が!いやっだめっ私、そんな!」

「ええい、おちつけっての!」

言葉は無力、そう悟ったリスティは美しい放物線を描くローリングソバットをフィリスの後頭部に叩き込む

ごす、と鈍器で殴ったような痛々しい音が響く

「 ( Д)゜ ゜ ウボァー 」

奇声を発して吹っ飛ぶ妹、でも不死身だからあんまり心配してなかったりする




それから十分後

「落ち着いたかい?」

一連の騒動で疲れたのか、やれやれ、といった雰囲気で尋ねる

「う、うん、ごめんね取り乱しちゃって…」

一方、申し訳なさそうに謝るフィリス

その顔は酷く青褪めていて、相当落ち込んでいるようである

「ねぇリスティ…私、どうしたらいいんだろ?」

フィリスが俯いたまま問い掛ける

その様子にリスティはちょっと真面目な顔つきになって、あえて聞き返す

「…なにが?」

「こんな体じゃ、恭也君に…好きっていう資格、ないよぉ…」

言いながら堪えきれない涙がポロポロ彼女の膝に落ちていく

その姿は見ているこっちまで泣きそうになってくる程可哀想であった

「フィリス……恭也はそんなこと…」

そこまで言ってリスティは考える

そんなことないよ、なんて言葉は今の彼女には慰めにならない

でもフィリスが辛そうに泣く姿なんて見たくない

今の自分にできる事、やってあげられる事は何かないだろうか?

その時、さざなみ寮の図書館でみた一冊の本の内容を思い出す

「あった!」

「リスティ?」

「大丈夫だフィリス! そんなお前でも恭也を落とす方法があるぞ!」

「え? うそ。ほんと!?」

フィリスの表情が一変、喜色に染まる

「本当だって、まぁ見てろ、アポート!」

空中に手のひらをかざしてそう言うと、一冊の本が瞬間移動してきた

その名も『S女王ヒトミ 〜年下美少年調教伝〜 』

当然作者はさざなみ寮の某漫画家である

どんな人物を参考にしたかは言うまでもない

「な、なにそれ?」

いかがわしいタイトルに不信感120%の視線を送る

期待していただけに、何か裏切られたような気分だった

「そんな顔するな、いいか、この本を参考にして行動すれば大丈夫だ!
絶対に恭也を落とせる!」

自身満々に宣言するリスティ

そして、漫画のページをぱらぱらとめくっていく

「まぁ、ここら辺かな、ほらフィリスちょっと見てみろって」

リスティに促されしぶしぶといった様子で漫画を眺める

「なぁっ!?」




『あああ…ヒトミ様…も、もっと強く踏んでくださいぃ〜!』

そこには、女顔の美少年がボンテージ衣装を着た女性に背中を踏みつけられていた

『ほーほっほっ、この豚野郎が ! どうだ? どうだ、この豚!』

少年を罵りながら女は背中をグリグリと踏みつける

『うああ! さ、最高ですぅヒトミ女王様ぁ〜!』

喜声をあげる女顔の美少年

『そんなに処女がいいのかっ! 私は処女じゃないぞっ! ああっ?』

踏みつけに加えて鞭まで振るって少年を痛めつける

『もう、もうこの卑しい奴隷はヒトミ様無しでは生きていけません〜!』

懇願するように女に縋りつく美少年

『おーほっほっ、それでいいのよ真一郎! 私の可愛い真一郎!』

暗い密室に女の高笑いがいつまでも木霊していた 

                                 END




「こ、これは凄いね、リスティ…」

「だろ? こういうふうにしちゃえば恭也だってイチコロさ!」

「そ、そうかな〜? でも…試してみる価値はあるかも…!」

もはやどこからツッコンでよいのか判断しかねる内容であったが

銀髪姉妹の間には確かな何かが生まれたようである

「そうと決まれば早速練習だ、フィリスなんかそれっぽいこと言ってみなよ」

「いきなり!? それはさすがに無理だってば…」

恥ずかしさからか、顔を赤くして拒否する

「いいから、いいから、なんか言ってみろって」

リスティの後ろに小悪魔の尻尾が見えるのは気のせいだろうか

結局フィリスは姉に押し切られる形で女王様の練習をしてみることになった

「じゃ、じゃあやってみるね…でも、あんまり期待しないでよ」

こほん、と一度咳払いしてベットから立ち上がる

「すーはー、すーはー…」

深呼吸をして一度目を閉じ、数秒間の静寂、そしてフィリスはカッと目を見開き

「この糞虫! 卑しい恭也の分際で私の同じ空気を吸うなんておこがましいです!
恭也みたいな下衆で汚らしい何の取り柄もない糞奴隷は大人しく私の言うことだけ
を聞いていればいいんです!わかったら鳴きなさい、豚のように!卑しい恭也には
お似合いですよ!おーほっほっ!」

フィリスにはそっちの才能があるのかもしれない… 

そう思っても可笑しくない程の罵りである

しかし、ここで予想外の出来事が起こる

ことん、という音がして小さな箱が床に落ちる

診察室の入り口、信じられないモノを見るような表情で佇む人物がいた

フィリスはその人物を見て一気に血の気が引いた

「き、恭也、君……!?」

かろうじて搾り出すように彼の名を口にする

「フィリス先生…俺は、どうやら酷い思い違いをしていたようです…」

相変わらず無表情ではあるが明らかにショックを受けている恭也

よく見ると彼の硬く握ったこぶしが震えていた

「三日前の夜の告白は、単なる、遊びだったんですね……」

その言葉でフィリスの記憶がフラッシュバックした

そういえば三日前、さざなみ寮で宴会があって

そこでリスティに無理やりお酒を飲まされて

運良く恭也君と二人っきりになって

その場の勢いで告白したんだった!(当然そのまま本番突入)

し、しまったあぁぁぁーーーーーーーーーーーーー!!!

心の中で絶叫する

フィリス一生の不覚!

こんな大事なことを忘れていたなんて!

「恭也君、こ、これはね、違うの…!」

慌てて弁明しようとするが、それを遮るように恭也が叫ぶ

「俺は、俺は本気でした! 本気で結婚を考えて! 悩み選んで指輪を買ってきて! 
それが、こんな…こんな仕打ちですか……失礼しますっ!!」

ばたん、と乱暴に扉を閉めて走り去っていく恭也

「そ、そんな! 恭也くぅーーーーーーーーーーん!!」

カムバーック、とばかりに手を上げるが時すでに遅し

すでに恭也は彼女の声の届かないところまで行ってしまったのである

そんな様子を見ていたリスティが気楽に言う

「こりゃあ終わったね♪」

フィリスの恋ここに終焉す!

「い、イヤァーーーーーーーーー!!!」




「…ぃ…いやぁ〜…恭也くぅん、…いかないでぇ〜……っはうぁ!?」

がばっと起き上がるフィリス、慌てて周囲を見渡す

そこは見慣れたさざなみ寮の客室

「ゆ、夢っ!?」

フィリスが混乱気味にわめいていると

「ん、う〜ん……」

隣で全裸で寝ている恭也がいた

フィリスが自分の姿を見るとやっぱり全裸

しかもシーツにはやっぱり確信的に赤いシミ

「も、もしかして、さっきのは正夢というやつでしょうか?」

恐る恐る先ほどの夢の内容を思い出していく

なんと恐ろしい夢であろう

まさか恭也に嫌われてしまう夢とは、しかも初体験の翌日に

「はぁ〜、私なにか悪いことしましたかね……」

最悪な気分である

でも少し安心もしている、あれが夢でよかったと

安堵のため息をもらすフィリス

そんな彼女の隣で恭也は寝苦しそうに寝返りを繰り返す

フィリスはそんな彼の様子をみて可愛いな、とクスクス笑う

彼の寝返りの所為で乱れたシーツを直してあげていると

ふと、恭也がとても小さな声で寝言を言っているのに気が付く

「う〜ん……女王様……」

「!!!?」

フィリスの試練はまだまだ終わりそうになかった



おわり








あとがき

どもこんにちわこんばんわおひさしぶりです、とりあえず一年以上ご無沙汰してました
一部死亡説まで流れたり流れなかったりしましたが、とりあえず生きてます、今回のは
リハビリのつもりで書きました、HPも近いうちに再開します、皆様今後ともよろしくです。







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