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[このSSは実際の企業・団体・人物・物理法則とは一切関係ありません]








そこは普段誰も近づこうとしない変態神父言峰の教会

「はぁ……」

椅子に座りながら重いため息を吐くランサー

「俺はいったい、どうすりゃ……」

何かに思い悩むランサーは後ろで猛然とマーボーを喰う二人に気がつかない

否、むしろその存在さえ認めていない、なぜなら…

「がつがつがつ! おい言峰、こいつはいったいどうしたのだ?」

激辛マーボーを平然と喰う英雄王、さすがである

伊達にアンリ・マユを飲み干したわけではない

いや、実際それとは関係ないのだが

「はふはふ! ふむ、わからん…が、しかし、どうやら悩んでいるようではあるな」

そしてその横でギルガメッシュよりも百倍辛いマーボーを喰らう言峰

暑いのかどうか分からないがフンドシ一丁で喰らうその姿は異様極まる

全身から滲み出す汗がギラギラとステンドグラスの光に反射する

うわ、想像したら相当酷い光景になりそうだ

「はぁ……」

そんな異空間を無視してランサーはまたため息を吐く

そんな彼の手には一枚の写真が握られていた

言峰は卓越(人間離れ)した視力でその写真を見て納得した

「ふむ、わかったぞ」

「言峰、どうした?」

「ランサーが何に悩んでいるのか分かったのだ、奴は恋に悩んでいる」

「鯉!!?」

「否、恋、LOVEの方だ、奴の持っている写真を見ろ」

そういわれギルガメッシュがランサーの持つ写真を見ると

そこには間桐桜のサーヴァント、ライダーの姿が写っていた

「ほぉ、なるほど、奴はあの女に欲情しているというのだな

確かにあの胸元などには何か『くる』ものがあるな」

「ふむ、サ−ヴァントの悩みを解決してやるのもマスターの務め

ここは一つランサーの奴を助けてやるか」

「言峰、貴様らしくないことを言うな、寒気がするぞ、本当のことを言え」

「ばれたか、ふ、なに、その方が私にとって楽しめそうな展開になりそうだからだ」

それはつまりランサーが不幸に見舞われるということ

極悪神父言峰に善意で人を助けるなどという概念はない

「ふ、お前らしい、が、それなら我も楽しめそうだな」

そう言って、いまだ二人の存在に気がついていないランサーの背後に立ち

「はぁ……」

ぽん

「ん?」

軽く肩を叩かれ振り向くランサー

その視線に写ったのは

「「ランサー君、何を悩んでいるのかな〜?」」

これ以上ないってくらいの不気味な笑顔の言峰とギルガメッシュの顔であった



追いかけてライダー


WRITTEN BY あかねこ



教会から拉致されたランサーは新都へとつれてゆかれた

異様な三人組に周囲の人々から視線が集中する中

事情を悟られたランサーが言峰、ギルガメッシュと向き合うと

「それで、てめぇらが俺を手助けしてくれることはわかった、わかったが……」

言いよどむランサー、彼は二人を睨むようにしながら

「だからってなんで俺がてめぇらにナンパの仕方なんて

姑息な手段教わんなきゃなんねぇんだよ!!?」

呶鳴るランサー、しかし二人は微塵も怯むことなく悠然と佇む

「なんでもなにも、貴様が女一人口説けずにいるから

我たちが直々に教えてやろうというのだ、ありがたく思えよ」

「くっ、でもてめぇだってセイバー一人口説けねぇじゃないか!!!

この前だってセイバーに宝具まで使われて拒絶されてたくせに!!!」

「な、なな、なんだと貴様!!!」

図星を言われて焦る英雄王

「まあ、二人とも落ち着け、結婚経験がある私の話を聞くがいい」

「「うるせぇ! 嫁に見捨てられた奴が偉そうに語るんじゃねぇ!!!」」

「ぐはぁ!!?」

過去の痕を逆に抉られて悶絶する言峰

頭をかかえて地面をごろごろと、もがき苦しむ

言峰を無視して口喧嘩を始めた二人

ヒートアップしてゆく口論はやがて掴み合いのリアルファイトへと発展していく

そんな状況は小一時間続いたという



不毛な争いが終わりボロボロになった二人は話を進めることにした

「はぁ、はぁ、そ、それで、てめぇらが実践するナンパ術ってなんだよ?」

「はぁ、はぁ…見て驚け、篭絡率100%の我のナンパ術を!!!

って、おい言峰、いつまで悶絶している、起きろ!!!」

ギルガメッシュが地面を転がりながら唸り続ける言峰を全力で蹴飛ばす

顎にいいのを貰った言峰の体が吹っ飛ぶ

「は!? す、すまんな、少し取り乱していたようだ……」

平然と言峰が立ち上がるとギルガメッシュはランサーに向き直り

「まずは我が見本を見せる、よく見ておけ!」

そういって町を歩く適当な女性に目をつけて近寄ると

「おい、そこの女!」

「え、わ、私!!?」

「そうだ貴様だ」

「な、なによあんた?」

いきなり声をかけられ不審がる女性

そんな彼女の心理など完全無視する形でギルガメッシュは言う

「我の女になれ!」

「はぁ!? あ、あんた何言ってんのよ!!?」

「ふむ、やはり素直には頷かんか……」

「素直に、ってあんた馬鹿ぁ!? 警察呼ぶわよ!!?」

「ならば、これならどうだ」

そう言っていきなり懐から分厚い札束を取り出す

「な、なによ、私をお金でどうにかできるなんて思わないでよね!!!」

口調は強気な女であるが、その視線は札束に釘付けであった

「ふ……」

ギルガメッシュは一瞬だけ微笑むと

ばし

札束による軽いビンタ

「……え…?」

呆然とする女性を畳み掛けるように再び一言

「我の女になれ」

すると今度は彼女の様子が一変して

「は、はいぃ……」

なにか熱におかされたような表情でそう答えたのであった

猫のように足元に縋り付く女性

ギルガメッシュはその様子を見て満足そうに頷くと

大口開けて呆れかえっているランサーに振り返り、勝ち誇った顔で

「どうだ、これが英雄王の力だ!!!」

誇らしげに宣言するのであった

「んなわけあるかぁーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

一閃、ランサーの鉄拳がギルガメッシュに叩き込まれる

「ぶるわぁっ!!?」

みっともなく吹っ飛ぶギルガメッシュ、その際手にもっていた札束が零れ落ちる

しかも、縋り付いてた女性が札束を掻っ攫って走り去ってしまっていた

「ぐ、ぐふ、貴様なにをする!!?」

「大馬鹿野郎!!! 金の魔力で女惹きつけてんじゃねぇ!!!!

これでも喰らってしばらく頭冷やしてやがれ!!!!」

怒号一喝、ゲイ・ボルク発動

投擲された朱槍がギルガメッシュの尻に突き刺さる

「ぎゃぁーーーーーーーーーーすっ!!!?」

黄門様を刺し穿られたギルガメッシュは白目を剥いて昏倒してしまった

「さすが名高き魔槍、英雄王もこれでは形無しだな」

言峰がかっこつけて言うが全然様になっていない

尻に槍が突き刺さったギルガメッシュはピクピク痙攣してるし

「ふむ、では次は私が実践してやろう、なに安心するがいい

亡き妻もこの方法で口説いた実績がある」

「へぇ、それなら、ちょっとは期待できそうだな…」

「ふ、期待には応えよう」

そう言ってなぜか路上でマーボーを作り出す言峰

赤い刺激臭が目に痛い

「ゲイ・ボルク!!!!」

ランサーは間髪入れず宝具を発動

「うぎゃぁーーーーーーーーーーーーーーーー!!!?」

言峰は心臓を貫かれ一瞬で絶命した

「はぁ、はぁ、あぶねぇあぶねぇ、危うく騙されるとこだったぜ……」



マスターを虐殺したランサーがとぼとぼと町を彷徨っていると

「あれ、ランサーこんなところで何してんの?」

「げ!!?」

ライダーの背後から声をかけてきたのは遠坂凛

加えて彼女の隣には衛宮士朗やセイバー

ほかにも桜やライダーまで全員が揃っていた

「お、おまえらなんでここに!!?」

「そりゃあこっちの台詞よ、あんたこそここで何してんの?」

「え、いや、それは……!」

突然のことで気が動転しているランサー

そんな彼の懐から一枚の写真が落ちた

「あれ、これなんでしょうか?」

そう言ってライダーが拾った写真を見ると

「え!!? こ、これって…私……?」

写真の中に写った自分を見て絶句する

「げぇ!!!?」

ランサー大失敗

「え、これってライダーよね? どうしてあの人がライダーの写真を!?」

「あ、本当、この写真に写ってるのライダーだわ」

桜や遠坂達が写真をみて騒ぎ始める

そうして何かを悟った遠坂がライダーに向き直り

「あ、まさかランサーの奴あんたのことが……」

遠坂がそこまで言った瞬間

「ま、まってくれ! そこから先は俺が言う!!!」

ランサーがそこで遠坂の言葉を遮る

大声に反応したように全員がランサーを見ると

ランサーはライダーを見据えながら何かを決意したような表情で

「お、俺、あんたのことがずっと好きだった、つ、つつ、付き合ってください!!!」

そう言ってネルトンよろしくお辞儀をしながら右手を差し出すランサー

どこでこんなことを覚えてくるんだろう?

ライダーは彼のそんな姿をしばし眺め、思いつめたように

「私は、こんな長身で女っぽくないですし……」

「そんなことねぇ! あんたは十分魅力的だ!!!」

「それに私は貴方のような正当な英霊ではないし……」

「関係ねぇよ! 俺はそんあこと気にしねぇ!!!」

「それに…それに……」

困り果てたライダーが桜を見ると

「ライダー、いいんだよ……?」

そういってお母さんのように微笑み、頷いた

「桜、ありがとう……」

そういってライダーが彼の手を握り返そうとした時

「ライダー!!!」

突然の怒声にびく、とライダーの手がとまる

その怒声の主は

「慎二……!?」

「に、兄さん……!?」

桜の兄、間桐慎二その人であった

慎二はライダーや桜に見捨てられて以来、痴呆症のバグ爺にも見捨てられ

蟲だらけの家からも追い出され放浪していたところを

心優しいオカマバーのマスター(36歳)に拾われそこで働いていたのであった

「お前、俺がこんな状況だってのに男と付き合うなんて許さないぞ!!!」

憤怒の表情で詰め寄る慎二、完全にやっかみである

「大体お前みたいな大女だれも相手にしちゃくれないんだよ!!!」

勢いにまま慎二がそこまで言うと

ランサーは顔を上げて、慎二を睨みつけ

「おい小僧、てめぇいいかげんに」

ランサーがそこまで言い終わる前に

「てめぇ慎二!!! 邪魔しやがって!!!

しかも大女だと!!? ぶっ殺してやる!!!!

オラオラオラァー−−−−−−−−!!!!」



北斗百烈拳も真っ青な鉄拳制裁の嵐

残像を残した拳が無数の腕として目に映り、さながら阿修羅のように見える

ていうか、ライダーの魔眼開放されてるし

ライダーの真の力が存分に余すとこなく発揮される

「あばべべばぼばびばばぶばばぼばぁ!!!!?」

百烈拳のあまりの早さに滞空しながら滅多打ちされる慎二

既に肉の塊、ミートボールと化している

「トドメだ、オルァ!!!!」



「ひでぶぅあっ!!!!?」

べレルフォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!

宝具によって呼び出されたペガサスに轢き逃げされて正真正銘トドメがはいった

「貴方は私を怒らせた、敗因はそれだけです……」

キメ台詞を言うライダー、どこかで聞いたことがありそうなのは気のせいである

まさに噛ませ犬、慎二君は夜空に輝くお星様の一つになったのでした



「ら、ライダー……?」

恐る恐る桜がライダーに話し掛ける

「あら、すいません、私ったらちょっと取り乱しちゃって♪」

軽やかに振り返ったライダ−は笑顔、そう笑顔

百年の恋も凍りつくような狂笑

「「「ひ、ひぃっ!!!?」」」

全員が雰囲気にそぐわないライダーの笑顔に戦慄を覚える

遠坂達はあまりの恐ろしさから、この場から本能的に逃げ出した

その様子をライダーは気にすることもなく

「あ、そういえばランサーの求愛への返事がまだでしたね」

ライダーがそういって未だ間抜けに右手を差し出しているランサーに向き直る

「貴方の愛の告白、私は感動しました、もちろん私の返事は」

ライダーはランサーの右手を握り返そうと手を伸ばし

当然のように逃げられた

「ぎゃひぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!! 

こんなの俺の好きなライダーじゃねぇよぉーーーーーーーー!!!!」

サーヴァント中最速の足を活かして地平の彼方へと消え去るランサー

残されたのは手を差し出したまま放置されたライダーのみであった



失意に打ちのめされて町をとぼとぼ歩くランサー

「はぁ…俺の恋も終わりか……」

そう言ってネガティブに歩いていると

ぽん

誰からか肩を叩かれた

「ん、誰だ?」

振り返るランサー

「「ランサー…さっきの、見てたぞ……」」

そこには何故か男泣きしている言峰とギルガメッシュがいた

何故言峰は生きているんだろう?

後日、本人曰く『マーボーの力だ!!!』らしい

「お前等か……」

今はあまりかかわりあいたくないランサー

無気力に対応して、去ろうとすると

「「元気だせ! こんな時は飲みに行くんだ!!!」」

二人がランサーのサイドに来て肩を組む

「お、おまえら……」

ランサーはそんな二人の気遣いに感動し

「よぉぉしっ! 今日は朝まで飲み明かすぞてめぇら!!!」

「「応!!!」」

三人の間に嫌な友情が芽生えた瞬間であった

「「「女〜なんて〜星の数ほどいる〜のさ〜♪」」」

寂しい唄を歌いながら漢達は夜の町へと消えていったのであった





おまけ

数日後

衛宮家に深刻な表情でランサーが相談に来ていた

とりあえず話しだけでも聞いてみることにした士郎達

そして、ランサーの口から話された内容に戦慄した

「「「ライダーがストーカー!!!?」」」

全員が声を合わせて驚く

「そうなんだ、最近はライダーのストーカー行為がエスカレートしてきて

精神的に追い詰められて俺も言峰、ギルガメッシュの野郎も寝不足なんだ……」

ランサーの憔悴しきった顔からそれが自分達の想像以上のプレッシャーだとわかる

「ランサーあんた、無駄に苦労してるわね」

遠坂がとりあえず適当な慰めの言葉をいう

「ああ、それに朝起きると戸締りをしているにもかかわらず

枕もとに紫色の髪の毛が作為的にあったりするし……

玄関先にはネズミとかスズメの屍骸が幾つも置かれていたり……

一日中どこからか視線をかんじているんだ……

もう限界だ! 助けてくれ!! ライダーを止めてくれ!!!」

そう言って泣き崩れるランサー

その様子を見ていた士朗がランサーの肩に手をかけ

「元気だせよランサー、俺にできることなら何でも協力す」

士朗がそこまで言いかけて全員が凍りついた

否、心まで石化した

「……………………」

見ている

彼女が見ている

蛇の如く天井にへばりついたライダーが全員を見ていた

しかも魔眼で

「え? おまえらどうし」

士朗達のただならぬ様子にランサーが振り返り

「逃がさないわ……」





それ以来ランサーの姿を見た者はいないという

唯一の目撃者である士朗達もかたくなに口を塞ぎ

彼の行方は以前不明であった

時々、衛宮家の土蔵の方から地獄の亡者の如き叫び声が聞こえてくるらしいが

誰もそのことに触れようとしない暗黙のオキテが何故か決まっていたりした

そして今夜も謎の叫び声が虚しく夜空に響くのであった

「誰かーたーすーけーてー!!!!」

「ふふ…可愛い声で鳴く子犬ちゃんだこと……♪」



「マジで誰かーたーすーけーてー!!!!」

やっぱり夜空に虚しく響くのであった



END



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