あかねこ屋敷 [このSSは実際の企業・団体・人物・物理法則とは一切関係ありません]








「士郎ーーーーー!!! 何処にいるのよーーーーーーー!!!」

「先輩ーーーーーーーー!!! 出てきてくださーーーーーーーい!!!」

「マスターーーーー!!! 何もしませんから安心してくださーーーーーーい!!!」

三者三様。衛宮家を探し回る凛、桜、セイバー

それぞれの表情は必死そのもの、まるで般若のような形相である

家中をひっくり返し士郎を探し回る、挙句の果てには魔術まで使って探している

桜などに至っては微妙に黒化しているあたり恐ろしさ三倍である

見つかればただでは済むまい、そう確信させるに十分な光景である

その様子を土蔵の片隅に隠れた士郎は見ていた

がたがたぶるぶると恐怖に震えひたすらに息を殺し隅っこに隠れる

今の彼に出来ることなどたかが知れている

否、もともと士郎に彼女達に抵抗する力など備わっていない、だって怖いし

「やばい、やばいぞ! この状況はやばい、味方もなく孤立無援だし

しかも、もうすぐ藤ねぇやイリヤまでやって来る、絶対やばいぞ!!?」

なんとか脱出法を考えるまったく思いつかない

このままいけば藤ねぇやイリヤの(本当の意味で)玩具にされるのは間違いない

「どうする!? どうする!? どうすればいい!!?」

焦っておもわず声を上げてしまった士郎、それが命取りとなってしまう

がた

「はぅあっ!!!?」

背後から物音、士郎は恐怖を押し殺し振り返る

するとそこには

「「「士郎、みーーつけたっ!!!!」」」

三人のこれでもかって言うほどの笑顔(ブラックバージョン)

「み、見逃してくれーーーーーーーー!!!?」

だっ、と勢いよく駆け出す士郎しかしその歩幅は絶望的にまでに遅い

「だめですよー♪」

ひょい、とあっさり桜によって抱き上げられる

「あはは、先輩こんなにちっちゃくって軽くて可愛い♪」

抱き上げた士郎に頬擦りする桜、しかしその速度は火が出そうなほど高速である

すりりりりりりりり!!!

「熱っ!? や、やめてくれ桜!!?」

虚しく桜の腕の中で暴れまわる士郎、しかしそれも三人を魅了するだけである

うずうずうず

「ちょっと桜、私にもだっこさせなさいよ!!!」

「桜、私も士郎を抱かせて欲しい」

「いいかげんにしてくれぇーーーーーー!!!!」









ちびっこ士郎

written by あかねこ








事の発端は遠坂の一言であった

「士郎、ちょっとこの指輪解析してみてくれない?」

そういって遠坂が出したのは綺麗な琥珀色の宝石がついた指輪

のんびりと居間で桜、セイバーと一緒にお茶を飲んでいた士郎

お茶菓子がスルメなので居間がかなり生臭い

「ん、いいけど、なんでさ?」

士郎は承諾はするが、理由がわからないといった感じで尋ねた

「この前買った骨董品の魔術具なんだけど、なんかプロテクトかかってるみたいで

普通の魔術じゃぜんぜんわかんないのよ」

「姉さん、まさかまたいかがわしい物を大金で買ったんじゃ……?

だいたい私と先輩は今から『俺の所為でスルメ臭くなっちゃったね桜』という先輩

私は『先輩のスルメ臭さなら私全然平気です♪』なんて頬を染める

そんな微笑ましいエロトークをしようとしていたんですよ!!!」

理不尽に暴走する桜、それを無視してセイバーも文句を言う

「凛、魔術の探求も結構ですが家庭の食事情に影響が出ないようにして貰いたい

ただでさえ最近は士郎が『トホホ、遠坂の所為でバイトが増えちゃったよ…』などと

愚痴をこぼしているのですから」

セイバーは嘘は言っていないが真実もいっていない

バイトが増えた理由には遠坂だけでなくセイバーや桜の食費も含まれているのである

しかもセイバーはこの士郎の愚痴を聞てなお食事量を減らそうとしない

果たして酷いのはどちらであろうか?

「う、うっさいわね! そんな高価な買い物じゃないわよ!!

ほ、ほら士郎、さっさとやってちょうだい!!!」

「わかった、んじゃ解析してみるからその指輪かしてくれ」

遠坂から指輪を受け取ると早速解析にとりかかる

トレース・オン
「同調・開始」

その言葉と同時に構造を読み取り解析が進む

その途中、プロテクトらしき魔術跡を見つけ解除しようと試みる

『なかなか頑丈だな、でも解けない程ってわけじゃない』

そうしてようやくプロテクトを解除し、その奥に進もうとした瞬間

『う、うわぁ!!!?』


カッ!!!!


目の前が真っ白になるほどの閃光が全員の視界を支配した

「「「士郎っ!!!?」」」

三人が叫ぶが目が眩んで士郎の安否を確認できないでいると

「うあぁぁぁ!!?」

士郎の悲痛な叫び声が全員の耳の響いた



閃光が収まりようやく三人の視力も回復してきた時

「士郎!? どこ士郎!!? 

え、こ、これって!!?」

遠坂が叫ぶ、しかし元の位置に彼の姿は見当たらない

そこには士郎の服が落ちているだけである(パンツ含む)

「姉さん! これっていったい!!? まさか先輩消えちゃったんじゃ!!!?」

「桜、落ち着いてください! 服の下に何かいます!!」

もぞもぞと士郎の服の下で蠢くナニカ

遠坂達は警戒態勢を取る

「「「………ゴクリ…」」」

息を呑む三人、得体の知れない不安が走る

そして服の下から出てきたナニカとは

「ふー、ひ、酷い目にあった、なにが起こったんだ?」

四・五才程度の子供の姿になった衛宮士郎であった



「「「か、か、か………!!!?」」」

金魚のように口をぱくぱくとさせ何事かを口走ろうとする三人

「か? あ、あれ? なんで皆そんなにでっかくなってるんだ!?」

士郎が今の己の姿にも気が付かず、愚かに尋ねると

「「「可愛いーーーーーーーーーーーーーー!!!!」」」

「ぎゃわーーーーーー!!!?」

一斉に三人同時に抱きしめられた士郎は(主に桜の)胸で息が出来ず気絶

その後、士郎を巡って争いだした三人の隙をついて逃げ出したまではよかった

しかし冒頭で土蔵に隠れていたところを見つかってしまったと言うわけである



数十分後

「えーと、まず二つ質問があるんだが?」

「なに、士郎?」

「……どうして俺はさっきからずっと皆に抱っこされているんだ?」

遠坂に後ろから抱っこされる形で士郎が言う

服装はぶかぶかで、上着を着ているだけで全身が覆い尽くせている

つまり、上着だけでパンツなどの下着はつけていない

桜が、ちらちら股間あたりを凝視しているが、そういう年頃なのかもしれない

その目が妖しい雌の輝きを放っているのはきっと気のせいだろう、多分気のせいだ……

何とか脱出しようにもこの姿は非力すぎて無理である

「私がそうしたいからよ、それ以外に理由があるかしら?」

「……いえ、ゴザイマセン」

「凛、そろそろ三十分です私に代わってください!」

「ち、しょうがないわね、はいセイバー」

そういって士郎をセイバーに渡す、まるでヌイグルミの如き扱いである

一応抵抗はしてみるがやっぱり無駄であった

「ふふ、士郎は私に抱かれるのが不満なのですか?」

そう言って(あまり豊かとはいえない)胸を押し当てる

「い、いや、あの、その………いやじゃないです」

なにか決定的なモノに負けてしまった士郎

しかし、これは男子にとって抵抗不可の超必殺技、逃れる術などない

………そう思っとかないと、悲しすぎるじゃないか!

あの世の切嗣もなぜか涙を流してうんうんと頷いていた

「ふふ、素直な士郎は好きですよ……」

母性全快で微笑むセイバー、自然と抱きしめる力も強まる

「ぐは!?」

しかしその腕に込められた力はゴリラの腕力を超える程、さすが英霊である

「それで、二つ目の質問は?」

「あ、ああ、じゃあなんで俺が子供になっちまってんだ?」

「その指輪の所為ね」

そう言って士郎の指に嵌められた指輪を示す

「あれ? 何時の間にこれつけてたんだ?」

指輪を外そうとするが、一向に抜けない

「無理よ士郎、それ特殊な呪いがかかってて条件を満たすまで外れないわ」

「の、呪いぃ!!? じゃあ俺死ぬのか!!?」

「あ、そんなに凶悪なもんじゃないから心配しないでいいわよ?」

「この姿になってる時点で十分凶悪だ!!!」

「ともかく、暫くはその姿で我慢しててよ、(一応)呪いを解除する方法探してみるから

それまでは士郎も楽しんでみたら? 意外と楽しいかもよ?」

「楽しくなんかねぇよ! なんか、いまいち信用できんがしかたがない

任せたぞ遠坂?」

「まかされて!」

親指をぐっと上げて微笑む遠坂

士郎の失敗はこの時に遠坂を信用してしまったことだ

彼はその後、このとき遠坂をちょっとでも信用してしまったこと深く後悔することになる



「まずはだ、藤ねぇやイリヤに見つかる前に何とか対策を立てねばなるまい」

「士郎、その前にするべきことがあります」

セイバーが真剣な表情で言う

「セイバー、どういうことだ?」

「今の士郎は家中を駆け回ったせいで汚れています、そして私達も同様です

ですからまずはお風呂に入って汚れを落とすべきかと思います」

「いや、それどころじゃ」
「あ、たしかに汚れちゃったかな」

「そうですね、じゃあ先輩いっしょにはいりましょ♪」

「あ、ああ、そうだな……って、んなわけあるか!!?」

「ちっ…あはは、そうですよねー、さすがに一緒は恥ずかしいですよねー」

「なにか、一瞬不穏な気配がしたが、そうだぞ桜、桜まで遠坂達にまざって

変なこといっちゃ駄目だ」

その一言に遠坂とセイバーの眼がつりあがったのは言うまでもない

「じゃあ私といっしょにはいりましょう」

そういってセイバーは士郎を抱いたまますたすたと当然のように風呂場へと向かう

「あ」

「ちょちょちょっと、待ちなさいよセイバー!!!」

一瞬の間を置いて正気に戻った遠坂と桜は急いでセイバーを追いかけた



「はーなーしーてーくーれー!!!」

最大限の音量で叫ぶ士郎

しかしその叫びも無駄に広い衛宮家に置いては虚しく響くだけである

「士郎、少し黙りなさい、これ以上騒ぐようならキスしますよ!」

「え、あ、ごめ…………はーなーしーてーくーれー!!!!」

なぜか一瞬、間をおいてさらに大音量で叫ぶ士郎

体は子供、心は好奇心旺盛なやりたい盛りの名探偵コナ、じゃなくて士郎

「ふ、しかたがないですね士郎は……」

そう言って士郎に顔を近づけるセイバー

「しかたがないですね、じゃねーーーーーーーー!!!」

どがぁん!

テンプルに遠坂のナックルパート(ベア)を喰らったセイバー

脳に直接響いた衝撃によって一瞬で気絶

白目を剥いたまま前方にお辞儀をするように倒れこんだ

どしゃぁぁん……

「…きまったな、あの倒れ方じゃもうおきあがれねぇぜ……」

無意味にゴッツイ見知らぬおっさんがその威力のほどを親切に解説してくれる

「って、あんただれよーーーーーー!!!?」

「きゃーーーーーー!!? 変質者ーーーーーーー!!!?」

変質者は桜の影によっておいしく喰われてしまった

「はぁ、はぁ、まったく出し抜けとはやってくれるわねセイバー」

「先輩の独り占めは許しませんよ! ぺっ!」

未だ白目を剥いて気絶中のセイバーをチンピラキックで切り上げる二人

ごろごろと転がって壁にぶつかったセイバーにとどめとばかりに桜が唾を吐く

セイバーの倒れていたところには倒れると同時に後頭部をぶつけ気絶した士朗がいた

幼い無邪気な表情で眠っている士郎(遠坂・桜ビジョン)

「「……ゴキュリ……」」

その姿を見て生唾を飲み込む腐女子が二名

無言アイコンタクトを済まし頷き合い、さっと士郎を抱き上げると

恐ろしく邪悪なオーラを背負って風呂場へと向かったのであった



「……ん、あ、あれ? 俺何時の間に寝てたんだ?」

士郎が目覚めるとそこは自分の部屋であった

丁寧に布団に寝かされ、風を引かないようにタオルまでかけてあった

服は相変わらずぶかぶかなままであるが洗濯はしてある

「誰がやってくれたんだろ?」

疑問に思いながらも布団から出ると枕もとに一通の手紙が置いてあった

「手紙?」


『士郎へ

あんたが寝ている間に風呂には入れておいたわ、私と桜が

たっぷり楽しませてもらったから、それと藤村先生とイリヤに関する言い訳だけど

士郎は特殊な病気で子供になっちゃったってことにすること、そうすれば

セイバーの時とおなじようにここに住めるし、怪しまれないわ

一応、切嗣の親戚って線も考えたけど、イリヤとかに見破られそうだから止めたわ

昔っからの士郎を知ってる藤村先生にも見破られそうだし

あと、起きたら居間までくること。            

                                           BY遠坂凛』


「…言い訳を考えてくれたのはいいとして、この俺で楽しんだってなんだ?」

最悪の光景を思い浮かべそうになり自己嫌悪に陥る士郎

そのタナトスな光景を頭から振り払って居間に向かう

そして居間の入り口まで差し掛かったとき

「な、なんだこの邪悪な雰囲気は?」

壁一枚を隔てて向こう側が異界かと思えるくらいである

「すごく嫌な予感がするんだが………」

嫌な汗をかきながら士郎が入り口に手をかけたとき


どっごーーーーーーーーーん!!!


居間は扉ごと大爆発したのであった

「………けほっ…」

入り口を開こうとした姿勢のまま黒焦げの士郎

その視線の先には

「士郎は私のマスターですから私が世話するのが当たり前なのです!!!」

武装化したセイバー、なにげにエクスカリバーを発動中

「士郎は私のパートナーなんだから私がするわよ!!!」

とっておきの宝石魔弾を構える遠坂、当然魔術刻印発動中

「先輩の世話をすることだけは譲れません!!!」

微妙に黒化している桜、足元から影も大量発生している

「士郎は私のものなのよぅーーーーーーーーー!!!」

おもろ顔で竹刀を構えるトラ、もとい我らが藤ねぇ

「士郎は私のお人形になるのーーーーーーー!!!」

一番不穏当な危険発言をかますロリッ子イリヤ

それらの様子を見ながら、士郎は思った

          ヘル
「………ここは地獄か?」

士郎の受難の日々は続く



END



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