あかねこ屋敷
[このSSは実際の企業・団体・人物・物理法則とは一切関係ありません]






Wild Mode 〜ウルフガイ恭也〜





それは全くの偶然だった、いやむしろ彼にとっては不幸な運命だったのかもしれない

「…なぜこんなところに塚が?」

毎年恒例の山篭りに向かう山道の途中で恭也は不思議な塚を見つけた

土を固めた土台の上に石で簡素な祠をたててその中には木彫りの像が祭ってある

「なんの像だこれは?」

長い年月で腐食しボロボロになった像は既に原型をとどめておらず、それが何をかたどった物なのか判別は難しかった

恭也はあまり信仰心があるわけではないが、この像からなにか神々しい力を感じ取ることだけはできた

「…これは、下手に手を出さないほうがいいのかもしれんな」

像を手にとって何をかたどった物なのか調べてみたかったが、恭也はそれを諦めた

「恭ちゃーん!何してるのー!?」

遠くのほうで先に進んでいた美由希が呼んできた

「いや、なんでもない、今行く」

恭也はそう言って立ち上がり美由希の所へ歩き出そうとすると

肩に背負っていたショルダーバックを不注意で塚にぶつけてしまった

「あ!?……しまった」

崩れた石造りの祠、そしてその下敷きになり粉々になってしまった木彫りの像

恭也は急いで元に戻そうと崩れた石の一つを手に取る

「恭ちゃーん?遅いよ…って何してるの?」

あまりに遅い恭也が気になり引き返してきた美由希

そんな彼女が見たのは道端の石を抱え、うんうん唸っている恭也の姿であった

「いや、さっき不注意でここの塚らしきものを崩してしまってな、直そうと思うのだがどんな形だったか思いだせんのだ…、よっと!」

そう言って恭也が一番大きな石をどかしたとき

「ん、なんだこれは?」

その下には粉々になった像と小さなペンダントがあった

歴史の教科書でよく見かけるような、勾玉と呼ばれる物がついる

「わー…綺麗……」

感動したような声をだす美由希

「宝石?…木像の中のこれを祭っていたのか?」

そう言って恭也がペンダントを手にとろうと勾玉に触れた時

勾玉から強烈な閃光が放たれた

「「な!!?」」

その事態に二人が驚き目を瞑った瞬間

二人の意識は急速に失われていった

その数分後

「……ん…んぁ!?」

朦朧とする意識を無理やり押し込め飛び起きる美由希

先ほど怒った不思議な現象の所為か未だ視界がはっきりしない

「ね、ねぇ恭ちゃん、さっきのって一体なんだった…ん!?」

美由希は恭也に呼びかけようとして気がついた

さっきまで恭也がいた場所に彼の姿が無いことに

「きょ、恭ちゃん!?」

がばっと飛び起き、周囲を見渡すが恭也の姿はどこにも見つからない

「恭ちゃーーーーーーーーーん!!!?」

その日、山奥にはいつまでも恭也を探す美由希の叫び声が響いたのであった


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『……う…うぅ、な、何が起こった?』

目を覚ます恭也、いつもの癖でまず周囲の気配を走査して危険が無いか判断する

『…周囲に人の気配なし、危険はないか…それにしてもさっきの閃光はいったい?』

立ち上がる恭也、しかしそこで彼は違和感を感じた

『なんだ?視点がやけに低いな、それに凄い草の匂いだ』

ふと、恭也が足元の水溜りを覗くとそこには一匹の犬の姿が…

『…なぜ、こんなところに、犬が、いるのだ?』

困惑する恭也が水面に映った犬に声をかけようとすると

「わん (おい、そこの犬よ)」

まるで今、恭也が喋ったように犬が吼えた

『………………………………落ち着け、落ち着くのだ、高町恭也』

出来るだけ冷静に、現状を把握しようとする恭也

『まず俺は高町恭也、20才になる鳴海大学一年生だ、御神流師範代で妹である高町美由希という弟子がいる、現在はその妹と山篭りに向かう途中だった、その時に不注意で塚を壊してしまい、俺はそれを直そうとして……突然、変な光に………!?』

「わおぉーーーーーーーーーん!!? (あれが原因かーーーーーーー!!?)」

恭也(犬)の遠吠えは虚しく空に消えていった


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あれから一時間、心ゆくまで叫び尽くした恭也はようやく落ち着くことができた

『まず大切なのは現状の把握だ、俺がいくら考えてもこんな規格外な出来事を理解できるはずが無い、このことは後で那美さんにでも相談するとして、今はいったん家ん帰るべきだな』

やるべきことを整理して落ち着いた恭也は立ち上がると(四本足で)ここが何処なのか周囲を見回す

『…ここは、那美さんが管理している神社か、しかし何故こんなところに?』

時間帯は夕方、太陽がまもなく地平線に沈もうとしている

しばし、その美しい光景に見入る恭也

『あれからどれだけ時間がたったのか知らんが、このまま呆けてても家族に心配をかけるだけだな、帰るか…』

恭也は考えるのを止め神社の階段を下り始めた

恭也が家の前までくる頃にはすっかり空は暗くなり夜になっていた

『……さて、どうしたものか……』

恭也は困っていた、家族への言い訳が見つからないからだ

家に帰ってきた家族は犬になってしまいました、なんて笑えない冗談だ

『…いや、なのはあたりは喜びそうだがな……』

自分で思って鬱になる恭也

それよりも深刻な問題がある、まず言葉が通じないだろう

くる途中で何度か試してみたが、どう頑張っても吼えることしか出来ない、もともと声帯の造りが違うのだ、無理も無いことである

『考えてもしかたがないか、とりあえず家に入ろう』

恭也が自力で玄関を空けようとすると

『………………………』

当然の如く鍵がかかっていた

恭也はしかたがないので玄関から入るのを諦め、塀に飛び乗り庭から家に入ろうとした

そして恭也が庭に飛び降りると、家から桃子の大声が聞こえてきた

「そ、それは本当なの美由希!!?」

「う、うん、私も一晩中探したんだけれども何処にもいなくて……」

「た、大変だわ!すぐに警察に捜索願を、あ、いや、それよりも山岳救助隊に直接連絡したほうが!!」

あわてて電話機に駆け寄る桃子

「桃子さん、それにくわえて香港警防隊を総動員して捜索にあたらせましょう!!」

美沙斗が冷静さを欠いた様子で言う

「私もCSSの生徒を校長権限で出動させるわ!!」

フィアッセが黒い翼を出しっぱなしで言う

「忍ちゃんもこんな時のことを考えて作っておいたフルアーマーノエル極地戦仕様を捜索にあたらせるわ!!」

「あらゆる障害を破壊し尽くし高町様を探しあててみせます!」

ハイテンションの忍に合わせるようにノエルが宣言する

「ちょっと、皆落ち着いてよ!!?」

あわてて美由希がそれを止めようとすると

「美由希ちゃん、止めたらあかん!お師匠のためならそれくらいどうってことない!おさる!!」

「おうよ!!」

めずらしくレンと意見が合った晶が美由希を後ろから羽交い絞めにする

「ちょ、晶まで!?見てないで助けてよ那美さーん!!?」

「……わ、わたしも神咲家に召集をかけてもらって…」

那美もあまりのショックで美由希の味方にはなりえなかった

「だぁーー!?みんな落ち着いてよ−−−!!」

もみくちゃにされながら美由希が悲鳴をあげる

そんな様子を遠くから見ていたなのはと久遠

「…お兄ちゃん、どこいっちゃったんだろう…」

心細そうに久遠に語りかけるなのは

「くぅん」

久遠はそんななのはを慰めるように彼女の頬をなめる

ふと、久遠が何かに気が付いたように顔を上げると、なのはから離れ若干の電流を纏いながら人型になった

「「「久遠?」」」

その様子にいままで暴れていた全員が振り向く

「……きょうや…きた…」

そう言うと一人庭へと走り出す久遠

「「「恭也!!?」」」

全員が久遠の発言に過剰反応を示す

皆は急いで久遠の後を追って庭へと飛び出す

そこだ全員が見たモノは

「「「い、犬ぅ!!!?」」」

「…きょうや〜…」

恭也と呼ばれた見知らぬ犬に抱きつく久遠の姿であった


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「さて恭也、じっくりと話を聞かせて貰おうかしら?」

リビングに戻った桃子達は犬になってしまった恭也を取り囲むように円形に座る

「わぅん… (訳を話せといわれてもなぁ…)」

言葉が喋れないんだから無理だろう、そう思っていると

とことこ、と久遠が恭也の隣に来てちょこん座る

「くおん…きょうやのことば…かわりに、いう…」

「わん? (久遠、俺の言葉がわかるのか?)」

「うん…だから…くおんにまかせて…」

「わぉん (そうか助かる、頼むぞ久遠)」

「…うん…きょうやうれしいと…くおんも、うれしい…」

「わん? (そ、そうなのか?)」

「…うん……」

そういって嬉しそうに恭也に抱きつく久遠

『『『…………………………おもしろくないわね………』』』

全員が心でそう思った

久遠の言葉しか理解できないが雰囲気がなんとなくムカつく

「恭也!久遠ちゃんといちゃついてないで訳を話しなさい!!」

イライラしている桃子は床をバンバン叩きながら話をするように言う

その様子に恭也びびってはあわてて話を始める

「わん、わぅん (美由希から話は聞いていると思うが、俺は変な閃光で気を失い目が覚めたら犬の姿で神社にころがっていたのだ)」

簡潔にあった事のみを言う

「…きょうや…おきたら…いぬになってた…て、いってる」

それをさらに簡潔に通訳する久遠

「…そ、それだけ?」

「わん (それだけだ)」

「…うん……」

「「「…………………………………」」」

高町家に沈黙が重くのしかかる

「わんわん、わぉん (まぁ理由はわからんが犬になってしまったのだからしょうがあるまい、特に怪我とかはないから心配するな)」

「…きょうや…ケガしてないから…しんぱいするなって…」

「それ以前の問題よ……」

桃子が呆れたようにため息を吐く

「恭也、あんたすこしは自分のことも心配しなさい息子が犬になって帰ってきて桃子さんも皆もあんたが心配でしょうがないんだから!」

「わぅん… (むぅ、すまない、善処する…)」

「…きょうや…あやまってる…」

「まぁ反省してるならいいわ、それよりも問題はこれからよ?」

「わん? (まだ何かあるのか?)」

「いいこと、あんた今の自分の姿が犬だって自覚ある?どうやってもとに戻るつもりなの?それに大学はどうするの?そもそも桃子さんはあんた達が山篭りすること自体が……」

桃子の話はだんだん愚痴ななりつつある

「わ、わぅん (ちょ、ちょっとまってくれ、落ち着け母さん、まず元に戻る算段だが俺に考えがある)」

「…もとにもどる…かんがえ、あるみたい…」

「わぉん、わん (まず今回の出来事だが俺の予想だと何かしらの霊障だと思う、そこで那美さんに相談しようと思うのだが)」

「…なみなら…もとにもどせる……」

久遠がそう言うと全員の視線が那美に集中する

「わ、私ですか!?」

自分を指差しながら驚いている那美

「わん? (那美さん、俺のことを霊視してみてくれまさんか?)」

「…なみ…きょうや…みて…」

「那美ちゃん、お願い…」

「「「那美さん…」」」

全員が期待の篭った視線で那美を見つめる

「う、うん、わかりました、やってみます!」

そう言って恭也の近くまで行き、恭也に向けて両手をかざし目を閉じる

真剣な表情の那美、時折なにか唸るようにしている

「「「…………………………」」」

全員が固唾を飲んでその様子を見守る

やがて那美は手を下ろし目を開ける、霊視が終わったのだ

「「「ど、どうですか!!?」」」

全員が那美に詰め寄る

「……実は……」

「「「……じ、実は……!?」」」

ごくり、皆が緊張した面持ちで那美の言葉を待つ

「ぜんぜんわかりませんでしたぁー♪」

「「「だぁーーーーーーーーーーー!!!?」」」

全員が一斉にずっこける

てへ、と舌を出してかわいらしく誤魔化す那美

彼女に期待するほうが酷だったのかもしれない

「あ、そういえば私あの時のペンダント持ってきてるよ?」

美由希がポケットから勾玉をだす

「ちょ、ちょっと見せてもらってもいいですか?」

今度こそ名誉挽回とばかりに那美が名乗り出る

「…別に、いいですけど〜…」

先ほどのこともあって少し疑わしげな美由希

勾玉を受け取った那美はそれをしげしげと眺める

「あ、裏の方に何か彫ってありますよ?」

「「「どれどれ?」」」

「うーん、これなんて書いてあるんですか?読めないんですけど?」

レンがそう言うと美沙斗が勾玉を覗き込みながら言う

「これは、古い文字だね、えーと……大口の…真神…と、読むみたいだね」

「あれ?それ、どこかで聞いたことがある気がするんですけれども…?」

「那美さん、頑張って思い出して!」

「う〜ん…う〜ん…う〜ん…」

まるで便秘の時のように唸りつづける那美

「あ!思い出しました!オオカミですよ、オオカミ!!」

「「「オオカミ?」」」

「大口の真神というのはオオカミの神様のことですよ!それ以外のことは思い出せませんけど!」

那美が興奮した様子で話す

「ノエル、わかる?」

「はい、大口の真神とは作物を食い荒らすイノシシやシカを退治する農耕の守護者としてニホンオオカミがモデルになり神格化したものと考えられます、ちなみにニホンオオカミは1905年に奈良県で捕まった1頭を最後に絶滅してしまったと考えられています」

すらすらと説明していくノエル

そんな彼女を恨みがましく睨む那美

「…ノエルさん、なんで最初に言ってくれないんですか〜?」

「忍お嬢様にそう言われましたので」

「し〜の〜ぶ〜さ〜ん〜!?」

ゆらり、と幽鬼のごとく忍に振り返る

「だって、ねぇ?那美ちゃんの名誉挽回のチャンスを横取りしちゃあねぇ?まぁそれも徒労に終わっちゃった み た い だ け ど?」

忍は悪魔の微笑みで答える

「がぁーーーーーん!!?」

那美は力尽きた


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「とりあえず、私は神咲本家に連絡とってみますね、何かわかるかもしれませんし」

「うん、そうね、那美ちゃんお願いね」

「はい、まかせてください」

「それじゃあ、夜も遅くなっちゃったし今日はここまでね、那美ちゃんに忍ちゃんどうする?泊まっていく?」

「うーん、猫たちにご飯あげなきゃいけないし、今日は帰ります」

「私も神崎家に早く連絡とっておきたいですし、今日は帰りますね」

「わかったわ、忍ちゃんはノエルさんと車だからいいけど那美ちゃんを一人で帰らせるのも心配だし…恭也おくってあげなさい」

「わん (了解した)」

即答する恭也、彼の中ではこういうことは当然のことである

「…きょうや…わかったって…」

久遠がまだ通訳として恭也の言葉を代弁する

「うーん、恭ちゃん一人だと心配だから私もいくよ」

「わぅぅ… (俺の心配をするなど十年早い…)」

「う、何言ってるかわかんないけど、失礼なこと言われた気がするよ」

そんなやり取りをしているうちに「うちも!」、「俺も!」などとレンや晶、果てはなのはまでついてくることになってしまった

「「「それじゃあ、いってらっしゃーい」」」

「わぉん (いってくる)」

「「「いってきまーーーーーーーす!」」」

桃子とフィアッセ、美沙斗に見送られさざなみ寮へと向かう六人と一匹

暗い夜道を雑談をしながら歩く

「でもさ、師匠が帰ってきてよかったよ、犬だけど…」

「ホンマや、一時はどうなるかとおもったわ、でもこれでうちも安心したわ、犬だけど…」

「がるぅぅ (そこ、さっきから犬犬やかましいぞ)」

「…きょうや…いぬよばれて…おこってる…」

「「す、すいませんでしたぁ!」」

「あれ、でも今の恭ちゃんって犬じゃなくてオオカミなんじゃないの?」

「あ、そうかもしれませんね、勾玉にもオオカミの神様と書いてありましたしね」

「お兄ちゃん、犬?オオカミ?どっちなの?」

「わん (知らん)」

「…わからな…」

「わんっ!! (静かに!!)」

久遠が喋り終わる前に恭也が吼える

いままで一度も吼えたことのない恭也の様子に全員が驚く

「きょ、恭ちゃ」

「…しずかに…!」

恭也に声をかけようとした美由希を久遠が止める

『…さっき悲鳴らしき声がかすかに聞こえた…どこだ?どこから聞こえた?』

必死になって周囲の音を聞き取る恭也

「たす……や………この………!!!!」

すると遠くの廃墟の方からかすかな悲鳴が聞こえた

『そこかっ!!!』

一気に駆け出す恭也

彼は信じられないような速さで悲鳴のする方へと駆けた


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「きゃあっ!!?」

コンクリートの床に投げ出された少女が悲鳴をあげる

彼女の名はアリサ・ローウェル

IQ200を超える天才少女でありながら孤児であり

そんな素性ゆえ孤独な生活を送る少女である

「…くっ!こんなところに連れ込んでなんのつもりよ!!」

アリサは気丈にも周囲でニヤニヤ笑う男達に向かって叫ぶ

「何って、そりゃあなぁ?」

男の一人が隣にいた男に笑いかける

「まぁこれからじっくり教えてやるよ、お兄さんたちがねぇ!」

下卑た笑みを浮かべながらアリサににじり寄る男達

「ち、近寄らないでよっ!!!」

彼女はこれから何が起こるのか分かっている

しかし、理解しているのと覚悟があるのとは別である

「近寄るなっていってるでしょ!!!」

壁際まで追い詰められてなお強気で叫ぶアリサ

しかし、その体はがくがくと震え今にも座り込んでしまいそうなほど怯えていた

「おいおい、そんなに怖がらなくてもいいじゃねぇかよ、なぁ?」

「あぁ、別に金が欲しいとか殺したりなんかしねぇんだからよ」

「ただちょっと俺たちと遊んでくれりゃいいんだよ、すぐ終わるって」

「あ、でもこいつに売りさせたらもうかるんじゃねぇ?」

「それいいな、結構かわいいから客もいっぱいつきそうだし」

好き勝手なことを言いながらアリサに近づく男達

その手にはナイフやスタンガンなど少女一人に対し過剰とも言える武装がある

そうこうしているうちにアリサの隙をついて男の一人がアリサの腕をつかむ

「きゃあっ!は、離して、離しなさいよ!!」

アリサは男の手を必死に振り解こうと暴れる

「うるせぇ!!」

暴れるアリサを強引に床に叩きつけ両手を抑えると

周りの男達が群がるようにアリサの衣服を破いていく

「いやぁーーーーーーー!!!!」

いままでで一番大きな叫び声をあげるアリサ

その瞬間

「がるぁーーーーーーーー!!!! (貴様らぁーーーーーーーーーーー!!!!)」

アリサの両手を抑えていた男をいきなり突進してきた犬(恭也)が突き飛ばした

「ぐぇ!?」

吹き飛ばされた男は壁に打ち付けられ間抜けな声をあげる

「「「な!!?」」」

驚く男達はその出来事に対応できずに驚くだけである

その隙に犬(恭也)はアリサと男達の前に立ちはだかる

「な、なんでこんなトコに犬が!?」

「がるるるぅぅ… (こんな少女に酷いことを、許さんぞ貴様ら…)」

「お、おい、なんかこの犬危なくねぇか!?」

「がるぅぅ… (おい、今の内に逃げろ…)」

恭也がアリサに向けて話すが、勿論通じてなどいなかった

しかし、賢いアリサはこれがチャンスだと判断し即座に逃げだそうとした

その様子を見て安心した恭也は次の行動を考える

『よし、後は美由希が来るまで俺がこいつらをひきつけて時間を稼いでおかねば、今の俺の状態で武装した男六人を相手に勝つのは難しい…』

そんなことを考えながら男達を寄せ付けにように気を張っていると

「きゃあーー!!!」

恭也の背後からアリサの叫び声が聞こえた

「!!?」

振り返るとそこには先ほど吹き飛ばした男がナイフでアリサを突き刺そうとしていた

『しまった!! 間に合うか!!?』

無意識で神速に入った状態でアリサを助けようと走る

しかし、その距離は長すぎてアリサをつれて離脱するのは難しい

『だめだ、この状態では間に合わない、ならば!!!』

恭也はアリサの前に飛び出し男のナイフから盾になるように体を晒した

同時に神速状態が解けた次の瞬間

肉を突き破り恭也の心臓に深々とナイフが突き刺さった


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「いやぁーーーーーーーーーー!!!」

アリサが恭也にすがりつくように抱きつく

恭也の胸にはナイフが深々と突き刺さっており一目で致命傷とわかる

『こ、これは死ぬな、油断した…せめて彼女を逃がした後ならば……』

「が、がふっ!!?」

口から大量の血を吐き出す恭也

その血がアリサにかかる

「しっかりして! お願いだから死なないでぇ!!」

必死になって呼びかけるアリサであったが、恭也の呼吸は今にも止まりそうなほど弱い

『…俺にかまわず…早く逃げろ…そうすれば美由希達と合流できるはずだから……』

恭也がそう言葉にしようとするがもはや呼吸すら出来ない状態ではそれも不可能なことであった

やがて恭也の意識が失われ、体から力が失われた

「ダメ!死んじゃダメェ!お願いだからぁ!!」

泣き叫ぶアリサ、しかし危機は去ったわけではない

男達が再びアリサを取り囲む

「おい、もうお別れはすんだだろ?」

「俺たちを無視してんじゃねぇよ!」

「まったく、さっきの犬の所為で酷い目にあったぜ」

「おい、こら餓鬼、こっちむけや!」

そういって男の一人がアリサの肩を掴む

アリサは強引に振り向かせられ目前の男を睨む

「あぁ!?ガン飛ばしてんじゃねぇよ!!」

怒鳴り散らすようにいってアリサの頬を叩く

「っ!!!?」

それでも怯むことなく男を睨み続ける

「………さない…!」

「あぁ!?」

「……あんたたち、絶対許さないから!!!」

そう言って少女とは思えないような殺気を男にぶつける

「へ、へへ、餓鬼の癖に、生意気いってんじゃねぇよ!!!」

殺気に怯んだ男はそれを誤魔化すようにもう一度アリサに手を出そうと腕を振り上げる

「ーーーー!!?」

次に来るであろう痛みにアリサは思わず目を瞑る

が、しかし、その痛みはいつまでたっても来なかった

「………え!!?」

アリサの後ろから伸びた何者かの手が男の腕を掴んでいた

後ろを振り返るとそこに先ほどまでいた犬の姿はなく

「………………………」

無言で佇む長身の男の姿があった

しかしその姿はかなり異様で

全身真っ黒の衣服を纏い、頭からは動物のようなとがった耳が生え、彼の腰からはふさふさの尻尾が生えていた


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「な、なんだてめぇは!!?」

腕をつかまれた男が威圧するように叫ぶ

『これは…もとに戻れたのだろうか?』

恭也は男の腕を掴んでいる自分の手を見ながらそう思った

目の前にはやかましく呶鳴る阿呆がいる

自分の胸元には先ほどまで助けようとしていた少女がいる

「この野朗!無視してんじゃねぇぞ!!」

男がアリサを掴んでいた手を離して恭也に殴りかかってくる

「五月蝿い」

恭也は掴んでいた男の腕を片手で乱暴に捻り折った

「いぎゃあぁぁーーーーーーーーー!!!」

腕を抑えて地面をのた打ち回る男

恭也はそんな男を無視してアリサを振り向かせる

未だ状況がつかめず呆然と恭也を見上げるアリサ

恭也はそんな彼女を頭から足元まで眺めると

「ふむ、なかなか良い娘だ、終わるまで我(おれ)の後ろに隠れてろ」

そう言ってアリサを自分の背後にして男達に対峙する

「な、なんなんだよてめぇは!!?」

「ぶっ殺すぞこらぁ!!」

「スカしてんじゃねぇぞてめぇ!あぁ!!?」

口喧しく恭也に罵倒を浴びせる男達

恭也は冷めた目で男達を眺めると

「塵、塵、塵、どれも塵、塵屑程度が我(おれ)に話し掛けるな、
良い女は全て我(おれ)の物、塵が手を出すなど万死に値す、女に不自由しているなら俺がその悩み消してやる……」

そういって男達のほうに歩いていく

「「「て、てめぇ!なめてんじゃねぇ!!!」」」

武器を手に一斉に襲い掛かってくる男達

アリサは次の瞬間見るであろう映像が怖くて目を瞑った

その予想は外れる

襲い掛かる男達、恭也は服の下に隠してあった小太刀を抜刀し、残像を残してその姿を消し去る

黒き疾風が駆け抜ける

次の瞬間には男達の背後に姿を現し小太刀を鞘に収める

「…人の道外れし淫猥非道な悪行、八百万ノ神が許しても我(おれ)が許さん!……成敗!!!」

カチン、と音を立てて小太刀が収められた瞬間

ぼとり、と音を立てて何かが落ちた

「「「あぎゃぁぁああああああああああああ!!!!!」」」

絶叫をあげた男達が地面に倒れこみ股間を抑えて悶え苦しむ

その股間からはとめどなく吹きだす大量の血液

すぐに床は血の海と化し男達はそこでのた打ち回っている 

アリサはその様子をみて先ほど男達の股間から落ちたモノがなんであるか悟った

「……これは、エグいわね…」

におい立つ血なまぐさい臭いに口元を抑える

「去勢されれば二度と女に困ることもあるまい、我(おれ)に神よりも感謝することだな、これにて一件落着!!!」

そう宣言して満足したのか、落ち着いた恭也はアリサの方に振り向く

「娘、大事ないか?」

「え、あ、はい! だ、大丈夫です!!」

いきなり話し掛けられ緊張するアリサ、なぜなら今の恭也からは何か得体の知れない色気のような物が感じられるからだ

「ならば良い」

「あ、あの!」

「なんだ?」

「た、たた、助けてくれてありがとうございます!!」

がちがちに緊張しながら礼を言うアリサ

「ふ、礼などは無用だ」

そういって微笑む恭也、それは普段の恭也の微笑みの数段上の威力をもっていた

『あ…だめ…やばいよこれ……』

その微笑に一撃KOされたアリサ

周りで男達が断末魔の絶叫を上げ血生臭い部屋の中でここだけまるで別世界のようにイイ感じの空気が漂っていた

「どうした顔が赤いぞ、やはりどこか悪いのか?」

心配した恭也がアリサの額に手を当てて熱があるか調べる

『あぁ、いまなら言える…天国のお母さん…私幸せです…』

しかし、そんな夢見心地のアリサの幸せは長続きしないもので

「恭也ちゃん!!?」

いち早く駆けつけた美由希が部屋に飛び込んでくる

「美由希、来たか」

「うげ!?な、なにこれぇ!!?」

阿鼻叫喚とかしている部屋の様子に美由希が悲鳴をあげる

「美由希、警察に電話だ、強姦グループがいたから成敗したと言っておけ」

「え!? わかったよ、っていうかなんで元に戻ってるの!!? それに何その獣耳と尻尾!?」

「さぁな、それよりも電話、頼むぞ」

「う、うん、わかったけど…」

何故か美由希の瞳は潤んでいた

「どうした?」

「ん、ううん、な、なんでもないよ!」

首を横に振って否定する美由希、しかしその心境はドえらいことになっていた

『なんか、今の恭ちゃんやばいよ!なんていうか色っぽい、今すぐにでも抱きつきたいよー!』

「では、あとは任せた」

それだけ言って恭也はアリサの手を取って廃墟から出て行く

「あぁ…恭ちゃん……」

もの欲しそうに恭也を見送る美由希

「…ちぇ」

そう言っていじけた子供みたいに足元に転がっていた何か(ナニ)を蹴っ飛ばしたのであった


_________________________



「お師匠!」

「師匠!」

「恭也さん!」

「くぅん!」

恭也が廃墟からでるとそこには心配した顔つきの皆が待っていた

「おお、皆も来たか」

そう言って微笑む恭也

「「「!!!?」」」

一撃必殺、今の状態の恭也の微笑みは何故か破壊力抜群だった

『あちぁ〜、またか……』

アリサは少し免疫が出来たのか、その様子を冷静に呆れた

「皆、どうした? 顔が赤いぞ?」

唯一気が付かない恭也の鈍感は相変わらずであった

「恭也さん元に戻れたんですか?」

「ああ、そうらしいな」

「じゃ、じゃあその耳と尻尾はどうしたんですか?」

「ん、まぁこの程度、そう騒ぐほどのことでもあるまい」

「あ、は、はい!」

「お、お師匠?」

レンがいいずらそうに話し掛ける

「ん? どうした?」

「えっと、お師匠が手を繋いでいる女の子は誰ですか?」

そういって皆がアリサを見る

「ああ、この娘が襲われているところをさっき我(おれ)が助けた」

「え!? だ、大丈夫なんですか!!?」

「うむ、幸い怪我などはない、だが用心してこの娘を家まで送っていこうと思っている」

恭也がそう言うと

「……家は…ありません…私、孤児ですから……」

アリサは俯きながらそう言った

『『『う、なんか重苦しい雰囲気……』』』

那美たちはそう思った、が、しかし一人だけそう思わない奴がいた

「ふむ、ならば我(オレ)の家に住むといい」

「「「え!!?」」」

その台詞に全員が驚く、ついでにアリサも驚く

「なにを驚いている? こんな良い娘を宿無しで過ごさせるなど人道に外れる行為、見過ごせるわけがあるまい?」

「そ、そりゃあそうですけど…て、師匠なんか口調も変わってませんか?」

「そうか? まぁ気にするな、それよりも」

恭也がそういいかけた瞬間

強烈な疾風を巻き上げて恭也の姿が再び狼に変化した

風が落ち着き狼姿の恭也が皆の前に現れると

「わん? (なんで?)」

間抜けなほどに普通の犬の声をだした

「「「………えーーーーーーーーー!!!?」」」

夜空に皆の遠吠え(絶叫)が虚しくコダマしたのであった

おわり










あとがき

ども、あかねこっすどうでしたかこのSS?つまんなかったら御免なさいです、面白かったら感想お待ちしています、てなわけであとがきとして言っておかなければならない事が幾つかありますね、まずこのSSは短編と言っておりますが、実は続きます、まぁ一話完結型のSSだとおもってください、で、今回のお題は「アリサ救済」が目的であります、あかねこはセクハラ大王魔雪様(誤字にあらず)と同じくハッピーEND至上主義者ですのでできるだけ皆を幸せにするSSを目指しております、これからも精進しますゆえご期待をば、ちなみに次回のお題は「宴会」です、どんな話かはバレバレですな。




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